ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

話題の賞味期限

絶望に打ちひしがれたとき、吐きそうなほど追い込まれたとき、乗り越えられそうもない壁が立ちはだかったとき、「ねぇ、聞いて~」と親しい人にこぼしたくなる。

しかしその「ねぇ、聞いて~案件」は、旬なうちに話してしまわないと終わりだ。

きのうまで「このことは絶対あの人に聞いてもらおう」と思い会話のシミュレーションまでしていたのに、一日経つともはや私は何に心震え、どう話そうとしていたのか、自分でも忘れてしまっているのだ。

 

前日の新聞は読む気がしないように、「旬」を外すと、プライベートないざこざすらも「古い案件」になってしまう。

 

先週は死ぬほど色んなことがあったのに、話を聞いてほしい相手に会ったときには、あらゆることが忘却の彼方だ。結局、きょうの出来事しか話せていない。どんどんどんどん気持ちは上書きされ、良いことも悪いことも「旬」な話題ではなくなっている。

 

そう考えると、人の心の動きもニュースと同じなんだと思う。

本当に聞いてほしい話はその日のうちに伝えないと、なかったことになってしまう。

 

先週は脳みそを130%フル稼働して過ごし、帰ってきたら倒れこむように眠る日々だった。

 

月曜日は残業中にキムタクが「帰れま10」で寿司を食べている映像を見てしまい、たまらず23時まで営業している回転すし店に駆け込んだ。タッチパネルでの注文、セルフレジでの会計…。誰にも気を遣わず「無」になって、格安でうまい寿司を頬張った。

 

火曜日は美容院に行った後、いよいよ自らの写真展の準備に取り掛かった。

一人で人間コンパスになりながら、1m50cmもある円の下敷きを作ったりした。

しかし、それはでかすぎて車で持ち運びできないことが判明し、夜の立体駐車場で途方に暮れた。

 

水曜日は、企画もののテロップチェックや情報セキュリティーテストなどデスクワークをこなし、木曜日こそほっと一息つこうと思っていたのだが、新撰組近藤勇の甲冑が発見されたというロマンあるネタが舞い込んできて、「うぐぐ。私、戦国時代詳しくないんだよね…」と言いつつ、一から歴史の勉強をして取材にあたった。

 

金曜日は5時半起きで立山黒部アルペンルートに行ったあと、Abox Photo Clubとやまの写真展にお邪魔し、塾長や仲間と話をして刺激を受けた。

 

そして土曜日、いよいよ自分の写真展の打ち合わせの日。車で持ち運べない円の解決策などを提案してもらい、一人ではぐらついていた方向性が見えてきた。しかし搬入は今月29日。あと2週間ない。しかも日中はがっつり仕事に時間をとられてしまう。

 

「日々の仕事」「中期の仕事」「写真展の準備」を同時並行させ、そこに突発の案件なども入ってきて私を苦しめる。こんなブログを書いている暇に、すべきことをすべきなのはわかっているが、書いて気持ちを整理しなければ取り組めない。

「ねえ、聞いて~」と、もう誰かに甘えている暇はないので、こうして書いて気持ちを浄化しようとしている。

 

そんなとき、母から届いたラインに考えさせられるものがあった。

私が桜の遊覧船やチューリップ畑からリポートしている映像を見て「毎年、綺麗だね。アヤは桜もチューリップも仕事で見ているから、プライベートでお花見したいとは思わないんだね。エイム(母が通うスポーツジム)では、どこが良かったとか、あそこへ行ったとか、誰と行ってきたとか、話題は花見だ。土日は館内もいつもより少なかった。天気がいいからお花見かな。羨ましい。」と。

 

純粋にお花見に行った人を羨ましがるメールだ。

時間の流れが私とまったく違う。これが世間の流れなのか、と思う。

 

私は「なるほど!みんなお花見したいんだね。おかんもどこか行きたかったの?」と返した。

 

すると母は「この時期はどこへお花見に行ったかは自慢話なんだ。私は行きたいが言えない。あんたは忙しそうだし、彼氏もいるし、いつだって遠慮している。以前、Yくんが両親を連れて松川の遊覧船に乗せてお花見したと聞いて、なんと親孝行だ!と、彼のやさしさに感動した」とある。

 

うぐぐ。私は自分ばかり仕事で花見をして、親をどこにも連れて行かない親不孝な娘ということかー。と思う。

体がちぎれそうなほど仕事をしていても、親一人幸せにできていない。

体も脳みそもフル回転して生きているのに、親を花見に連れていく、こんな簡単なミッションができない自分を恨めしく思う。来年は連れていくよ、と心に誓う。

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あさひ舟川「春の四重奏」2022.4.11(月)

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おかんは羨ましかったのか・・・

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桜並木の下はこんな感じ 富山・朝日町

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おかんが憧れた松川遊覧船 富山市内 2022.4.6(水)

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これもお仕事だけれど・・・

 

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こんなことも「ねぇ、聞いて~」と誰かに話したかったのだが、誰にも話せないうちに

立山黒部アルペンルート全線開通の日を迎えた。18mもある雪の壁の間でリポートしつつ、またおかんは羨ましいんだろうなと思ったりした。

 

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標高2390m 立山黒部アルペンルート 雪の大谷 2022.3.15(金)

さて、このブログをアップしたら写真展の準備に取り掛かります。

 

中田絢子写真作品展「FINDART vol.1ーWishー」

会期:2022年5月1日(日)~29日(日)

   土・日・祝日のみ開催

   10:00~17:00(最終日~16:00)

会場:ガラス工房スタジオ・プラスG

   Gallery

   石川県金沢市大野町2-39

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私を翻弄した円の型紙 Pが「円じゃないですね」と言っている いびつだから笑