人生最長の徹夜
計算したら、33時間寝ていなかった。
その日は富山県砺波市でとなみチューリップフェア開幕の取材をした後、富山県黒部市に新しくオープンする道の駅KOKOくろべの取材にクイックターンの日だ。
富山の西から東へ移動し、リポートをし、インタビューをし、原稿を出す。くたくたである。普段なら帰ってすぐに寝たいところだが、写真展の準備が迫っていた。
帰宅後、展示する約35点の写真をそれぞれの額に入れ、キャプションなどを作ることにした。そうしたサイドを固めてから、直径1.3mの大作コラージュに取りかかろうと思っていた。
その日、深夜勤務の友人に「きょうは私も徹夜するから一緒に頑張りましょう。帰るとき教えてね」とLINEしておく。友人からは、午前3時半に「そろそろ店仕舞いします。おやすみ」と連絡がきた。
私は「ギラギラしてます!まだ私は寝ない!!アドレナリン!」と返信し、作業を続けていた。今読み返すと、なかなか鬼気迫る文面である。
まわりの写真たちの整理やキャプション書きもそれなりに時間がかかるもので、知らぬ間に朝になっていた。午前6時半、世の人々は起き出す時刻である。
私は一睡もしていないのだが「よし、今起きたことにしよう」と自分をだますことにした。「私は今、すっきりと目覚めて、新たな気持ちで作業に入るのだ」と自分に言い聞かせる。徹夜していなかったことにして、作業を続けようという腹である。
結局サイド展示のめどがついたのが午前7時30半過ぎ。
それから直径1.3mの大作コラージュに取りかかることにした。
スプレーのりでプリントを貼り付けていく作業なのだが、失敗したら取り返しがつかない。特に最初の1枚は1ミリもズレないように、マスキングテープで印をつけ、体幹に力を入れ、息をひそめて「えいや!」と張り付けた。
最初の1枚がうまくいったので、その後も集中して作業を進められた。
その間に、P(プロデューサー)から連絡が入る。
トークショーのことや、作業の進捗状況を尋ねるものだ。
アドレナリンがどんどん出てきて、ますます眠くない。
目途がついて休憩しようと思ったのが午後2時半。
眠りに落ちたのが午後3時ごろなので、33時間連続して起きていたことになる。
受験勉強をしていたときも、仕事に追われていたときも、こんなに長く連続して起きていたことはない。
年齢を重ね、もろもろ体の機能は落ちてきているのだろうが、それを上回る「やりたいこと」「アドレナリン量」が増しているんだと思う。体力お化け、気力お化けな感じ。
備忘録として書いておくと、Pと打ち合わせしたのが4月16日(土)その日にメイン作品の土台を業者(白山市のかゆう堂)に発注し、完成した土台を取りに行ったのが21日(木)。22日(金)の仕事終わりから23日(土)にかけて徹夜をして大作を仕上げ、24日(日)は、前々から予定を入れていたホタルイカと紅茶の宴に出席した。
Pからは「ホタルイカを食べているということは、大作は完成したんですよね?どんな仕上がりか、見たいなぁ~」と言われ、恐る恐る写真を送る始末。そして「中田さんらしくて、とっても良いと思います!お疲れさまでした!」とOKサインが出た。
というわけで、出来立てほやほやの作品に会ってやってください。
中田絢子 写真作品展
FINDART vol.1 ーWishー
会期:2022年5月1日(日)~29日(日)土日祝日のみ開催
10:00~17:00 (最終日~16:00)
会場:ガラス工房 スタジオ・プラスG 石川県金沢市大野町2-39
入場無料 近くに「大野町まち歩き駐車場」があります そこにお停めください
【記念クロストーク】プロデューサー・市川篤×作家・中田絢子
5月1日(日)14:00~15:00