ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

真の幸せ

「幸せだぁ・・・」としみじみ思うことがたまにある。
それは何も特別なイベント時ではない。日常の、本当に何気ない瞬間だ。

富山県は去年「幸せ人口1000万〜ウェルビーイング先進地域、富山〜」を打ち出した。県民が生き生きと自分らしく暮らし、そんな富山県に魅力を感じる多くの方が富山に集い、共に発展していくことを目指すという。
富山県民100万人だけでなく、富山で仕事をする人、よく訪れる人、生まれ育った人など愛着を持って関わるすべての人が、富山の仲間だというのだ。それが『幸せ人口1000 万』とうたっているゆえんである。

 

ウェルビーイング(well-being)とは、肉体的にも、精神的にも、社会的にもすべてが満たされた状態。「真の幸せ」という意味だ。最初は聞き慣れない言葉に戸惑い、きれいごとに聞こえていたが、徐々に馴染んできた。しかし幸せは行政から提供されるもの、というより、自身から込み上げるものだと思う。

 

今年に入ってから、「あぁ、幸せだなぁ」と噛み締めることが数回あった。
はっきりと覚えているのは今年の2月。
その日は加圧トレーニングをして、棚の整理をするための板をホームセンタームサシに買いに行って、家に帰ってきてはめてみたら2センチほど足りなくて、ショックを受けつつ交換に行って、2回目はぴたっと棚に板がハマった日のことだ。

 

その夜は友人と焼き肉に行く約束だった。とても楽しみだったので、それまでに面倒な用事を済ませてしまおうとガシガシ動いていた。しかし、友人の仕事の都合でその約束がドタキャンになった。残念だったけれど、おかげでこれまで見て見ぬふりをしてきた「板問題」も解決したことだしと、私はひとりサウナに出向いた。

 

サウナの整いベンチに横たわっているとき「このまま、富山にいたいなぁ」と思った。ここにいるとまわりと比べて自分を卑下することも少なく、居心地がいい。好きなことを極められるし、腹を割って話せる友人がいる。「一緒にいると、ウェルビーイングが上がるね」などと言い合いながら、だらだらとしゃべる時間が尊い
ああ、幸せ。このままこの幸せが続きますようにと願いながら、寝転がったあの感覚が忘れられない。

サウナの写真はないので、後日の焼肉の写真

2022.2.26 リベンジ焼肉の会

次のウェルビーイングが訪れたのは5月19日。
前日の天気予報では全国的に暑くなると言われていた。
私は休みだったのだが、じっとしておれず取材に行くことにした。
結果、その日は富山市が30・3℃の真夏日となり、全国1位の暑さとなった。
行ってよかったと思った。リポートはカットされていたけど、やるだけやった感があった。カットされてもいいのだ。自分で納得いく取材ができたかどうか、が重要なのだ。

2022.5.19 富山が全国で1番暑かった日

その夜、私は自分へのねぎらいも込めて大好物のアヒージョを作った。
友人にその写真を送ったら「ナニージョ?」と粋な質問が来たので、
ホタルイカカニカマ、ウインナー、プチトマト、マイタケ~ジョ」と答え、具材とオイルをつぎ足しながら3杯ほどお代わりした。
そして例のごとく満腹になり、私は倒れ込むように床で寝てしまった。
背中が痛くて夜中の3時ごろにベッドに移動したことも、悪くない思い出だ。

自家製アヒージョ

 

最近では、写真展の在廊にも慣れてきた5月23日。
母と加賀カニごはんを食べに行く日のことだ。
出かける前、母は「きょう私の葬式用の写真を撮って」と言ってきた。
いわゆる遺影撮影だ。
縁起でもないと言いつつ「元気な時こそ、いい写真を撮ってあげるべきだな」とも
思い、一眼レフを持って出かけた。

加賀カニごはん 母67歳の誕生日祝い

『加賀カニごはん』全店舗で3280円 くいもん家ふるさと加賀店

カニの炊き込みごはんも🦀


その日は快晴だった。カニごはんの後に私のパワースポット加佐の岬に行った。
母の葬式用の写真をパパっと撮る。そうしているうちにいろいろとアイデアが湧いてきた。ちょうど一眼レフもあることだし、と作品撮りもしてみることにした。

ままちゃんらしい1枚

わたしは「ファインダートかもしれん」と母にモニターを見せた。
ファインダートとは、今回の写真作品展のプロデューサー市川篤氏が私のためにつけてくれたタイトルだ。「ファインダー」+「アート」で「ファインダート」
すごくかっこいいタイトルだが、「おやじギャグの部分も含まれているんですけどね」と聞いて笑ってしまった。
ウェルビーイングやら、ファインダートやら。

最初は慣れない横文字も、繰り返していくうちに自分のものになっていくから不思議だ。

母が私のモニターを見て「ファインダートだねぇ」と言った。
私は「ね!ファインダートやろ~?」と言った。

 加佐の岬 石川県加賀市

2人で「ファインダート、ファインダート」と言って、笑って、撮る。

喉がからからになって、海が見えるカフェ「うみぼうず」でマスカットソーダを飲んでいるとき、私はまさにウェルビーイングだった。

こうして書いていると、自分がウェルビーイングになりやすい状況がわかってきた。
その感覚は、詰めるところまで詰めて、弛緩したときに訪れやすい。
一時(いっとき)のウェルビーイングを味わうために、日々、ああでもない、こうでもないと頭をひねり、汗をかいて生きている。人生はそんなことの繰り返しだ。