ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

人生最長の徹夜

計算したら、33時間寝ていなかった。
その日は富山県砺波市となみチューリップフェア開幕の取材をした後、富山県黒部市に新しくオープンする道の駅KOKOくろべの取材にクイックターンの日だ。

富山の西から東へ移動し、リポートをし、インタビューをし、原稿を出す。くたくたである。普段なら帰ってすぐに寝たいところだが、写真展の準備が迫っていた。

2022.4.22(金)8:30 となみチューリップフェア開幕

開幕初日は5分咲き

去年完成した新チューリップタワー

毎年新たな見どころがある魅力的なイベント

今度特集組みます 道の駅KOKOくろべ


帰宅後、展示する約35点の写真をそれぞれの額に入れ、キャプションなどを作ることにした。そうしたサイドを固めてから、直径1.3mの大作コラージュに取りかかろうと思っていた。


その日、深夜勤務の友人に「きょうは私も徹夜するから一緒に頑張りましょう。帰るとき教えてね」とLINEしておく。友人からは、午前3時半に「そろそろ店仕舞いします。おやすみ」と連絡がきた。

私は「ギラギラしてます!まだ私は寝ない!!アドレナリン!」と返信し、作業を続けていた。今読み返すと、なかなか鬼気迫る文面である。


まわりの写真たちの整理やキャプション書きもそれなりに時間がかかるもので、知らぬ間に朝になっていた。午前6時半、世の人々は起き出す時刻である。

私は一睡もしていないのだが「よし、今起きたことにしよう」と自分をだますことにした。「私は今、すっきりと目覚めて、新たな気持ちで作業に入るのだ」と自分に言い聞かせる。徹夜していなかったことにして、作業を続けようという腹である。

 

結局サイド展示のめどがついたのが午前7時30半過ぎ。
それから直径1.3mの大作コラージュに取りかかることにした。

 

スプレーのりでプリントを貼り付けていく作業なのだが、失敗したら取り返しがつかない。特に最初の1枚は1ミリもズレないように、マスキングテープで印をつけ、体幹に力を入れ、息をひそめて「えいや!」と張り付けた。
最初の1枚がうまくいったので、その後も集中して作業を進められた。

 

その間に、P(プロデューサー)から連絡が入る。

トークショーのことや、作業の進捗状況を尋ねるものだ。
アドレナリンがどんどん出てきて、ますます眠くない。

 

目途がついて休憩しようと思ったのが午後2時半。

眠りに落ちたのが午後3時ごろなので、33時間連続して起きていたことになる。
受験勉強をしていたときも、仕事に追われていたときも、こんなに長く連続して起きていたことはない。

 

年齢を重ね、もろもろ体の機能は落ちてきているのだろうが、それを上回る「やりたいこと」「アドレナリン量」が増しているんだと思う。体力お化け、気力お化けな感じ。

 

備忘録として書いておくと、Pと打ち合わせしたのが4月16日(土)その日にメイン作品の土台を業者(白山市のかゆう堂)に発注し、完成した土台を取りに行ったのが21日(木)。22日(金)の仕事終わりから23日(土)にかけて徹夜をして大作を仕上げ、24日(日)は、前々から予定を入れていたホタルイカと紅茶の宴に出席した。

4月16日(土)13:30~ ガラス工房で打ち合わせ

100円ショップの発泡スチロール板で作った型紙 車に入らず半泣きになる
解体して、張り直して、いびつな形に…泣!

これが特注の台 2万6400円

半円の台をボルトで締めて円にすると、持ち運べる!そんな手法があるのか―

そして徹夜の制作に入る この段階で4月23日(土)14:10

ホタルイカと紅茶の宴へ 4月24日(日)13:00~ リコモンテ

幸せ・・・このあとPから「大作は完成したのか?」との問い合わせが((((;゚Д゚))))

誘ってくれた野菜ソムリエのちーちゃん

富山の呉羽地区で栽培されている地紅茶

 

Pからはホタルイカを食べているということは、大作は完成したんですよね?どんな仕上がりか、見たいなぁ~」と言われ、恐る恐る写真を送る始末。そして「中田さんらしくて、とっても良いと思います!お疲れさまでした!」とOKサインが出た。

 

というわけで、出来立てほやほやの作品に会ってやってください。

 

中田絢子 写真作品展

FINDART  vol.1 ーWishー

会期:2022年5月1日(日)~29日(日)土日祝日のみ開催

10:00~17:00 (最終日~16:00)

会場:ガラス工房 スタジオ・プラスG 石川県金沢市大野町2-39

入場無料 近くに「大野町まち歩き駐車場」があります そこにお停めください

【記念クロストーク】プロデューサー・市川篤×作家・中田絢子

5月1日(日)14:00~15:00

手前の駐車場と奥のスペースも停められます!

話題の賞味期限

絶望に打ちひしがれたとき、吐きそうなほど追い込まれたとき、乗り越えられそうもない壁が立ちはだかったとき、「ねぇ、聞いて~」と親しい人にこぼしたくなる。

しかしその「ねぇ、聞いて~案件」は、旬なうちに話してしまわないと終わりだ。

きのうまで「このことは絶対あの人に聞いてもらおう」と思い会話のシミュレーションまでしていたのに、一日経つともはや私は何に心震え、どう話そうとしていたのか、自分でも忘れてしまっているのだ。

 

前日の新聞は読む気がしないように、「旬」を外すと、プライベートないざこざすらも「古い案件」になってしまう。

 

先週は死ぬほど色んなことがあったのに、話を聞いてほしい相手に会ったときには、あらゆることが忘却の彼方だ。結局、きょうの出来事しか話せていない。どんどんどんどん気持ちは上書きされ、良いことも悪いことも「旬」な話題ではなくなっている。

 

そう考えると、人の心の動きもニュースと同じなんだと思う。

本当に聞いてほしい話はその日のうちに伝えないと、なかったことになってしまう。

 

先週は脳みそを130%フル稼働して過ごし、帰ってきたら倒れこむように眠る日々だった。

 

月曜日は残業中にキムタクが「帰れま10」で寿司を食べている映像を見てしまい、たまらず23時まで営業している回転すし店に駆け込んだ。タッチパネルでの注文、セルフレジでの会計…。誰にも気を遣わず「無」になって、格安でうまい寿司を頬張った。

 

火曜日は美容院に行った後、いよいよ自らの写真展の準備に取り掛かった。

一人で人間コンパスになりながら、1m50cmもある円の下敷きを作ったりした。

しかし、それはでかすぎて車で持ち運びできないことが判明し、夜の立体駐車場で途方に暮れた。

 

水曜日は、企画もののテロップチェックや情報セキュリティーテストなどデスクワークをこなし、木曜日こそほっと一息つこうと思っていたのだが、新撰組近藤勇の甲冑が発見されたというロマンあるネタが舞い込んできて、「うぐぐ。私、戦国時代詳しくないんだよね…」と言いつつ、一から歴史の勉強をして取材にあたった。

 

金曜日は5時半起きで立山黒部アルペンルートに行ったあと、Abox Photo Clubとやまの写真展にお邪魔し、塾長や仲間と話をして刺激を受けた。

 

そして土曜日、いよいよ自分の写真展の打ち合わせの日。車で持ち運べない円の解決策などを提案してもらい、一人ではぐらついていた方向性が見えてきた。しかし搬入は今月29日。あと2週間ない。しかも日中はがっつり仕事に時間をとられてしまう。

 

「日々の仕事」「中期の仕事」「写真展の準備」を同時並行させ、そこに突発の案件なども入ってきて私を苦しめる。こんなブログを書いている暇に、すべきことをすべきなのはわかっているが、書いて気持ちを整理しなければ取り組めない。

「ねえ、聞いて~」と、もう誰かに甘えている暇はないので、こうして書いて気持ちを浄化しようとしている。

 

そんなとき、母から届いたラインに考えさせられるものがあった。

私が桜の遊覧船やチューリップ畑からリポートしている映像を見て「毎年、綺麗だね。アヤは桜もチューリップも仕事で見ているから、プライベートでお花見したいとは思わないんだね。エイム(母が通うスポーツジム)では、どこが良かったとか、あそこへ行ったとか、誰と行ってきたとか、話題は花見だ。土日は館内もいつもより少なかった。天気がいいからお花見かな。羨ましい。」と。

 

純粋にお花見に行った人を羨ましがるメールだ。

時間の流れが私とまったく違う。これが世間の流れなのか、と思う。

 

私は「なるほど!みんなお花見したいんだね。おかんもどこか行きたかったの?」と返した。

 

すると母は「この時期はどこへお花見に行ったかは自慢話なんだ。私は行きたいが言えない。あんたは忙しそうだし、彼氏もいるし、いつだって遠慮している。以前、Yくんが両親を連れて松川の遊覧船に乗せてお花見したと聞いて、なんと親孝行だ!と、彼のやさしさに感動した」とある。

 

うぐぐ。私は自分ばかり仕事で花見をして、親をどこにも連れて行かない親不孝な娘ということかー。と思う。

体がちぎれそうなほど仕事をしていても、親一人幸せにできていない。

体も脳みそもフル回転して生きているのに、親を花見に連れていく、こんな簡単なミッションができない自分を恨めしく思う。来年は連れていくよ、と心に誓う。

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あさひ舟川「春の四重奏」2022.4.11(月)

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おかんは羨ましかったのか・・・

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桜並木の下はこんな感じ 富山・朝日町

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おかんが憧れた松川遊覧船 富山市内 2022.4.6(水)

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これもお仕事だけれど・・・

 

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こんなことも「ねぇ、聞いて~」と誰かに話したかったのだが、誰にも話せないうちに

立山黒部アルペンルート全線開通の日を迎えた。18mもある雪の壁の間でリポートしつつ、またおかんは羨ましいんだろうなと思ったりした。

 

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標高2390m 立山黒部アルペンルート 雪の大谷 2022.3.15(金)

さて、このブログをアップしたら写真展の準備に取り掛かります。

 

中田絢子写真作品展「FINDART vol.1ーWishー」

会期:2022年5月1日(日)~29日(日)

   土・日・祝日のみ開催

   10:00~17:00(最終日~16:00)

会場:ガラス工房スタジオ・プラスG

   Gallery

   石川県金沢市大野町2-39

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私を翻弄した円の型紙 Pが「円じゃないですね」と言っている いびつだから笑

 

誰が為の戦争か―

久しぶりに金沢のマンションに帰ったら、駐車場に母と恋人の車があった。
母はスポーツジムから帰って、ぬくぬくしているのだろう。
彼はすでにお酒を飲んでいるに違いない。今夜はアメトーーク!の家電芸人が紹介していた圧力ジャーで、スペアリブを作ってくれると言っていた。

愛する2人がこのマンションで私の帰りを待ってくれている。
部屋に電気がついている。こうしたことが、いかに幸せかを噛み締める。

 

ロシアのウクライナ侵攻が始まってから、私は憤りでおかしくなりそうだ。


戦争はいつの世も、まるで石ころを蹴るかのように簡単に始まる。
一部のトチ狂ったエゴイスト(利己主義者)によって。

 

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人を殺せば「殺人」
人を傷つければ「傷害」
人の車にコインで落書きをすれば「器物損壊」
日常生活ではそれぞれの罪で起訴され、裁判にかけられる人たちも、ひとたび戦争が始まれば、きのうまでの罪が正義にすり替わる。

 

病院の上に爆弾を落とそうが、テレビ塔を爆破しようが、人々の家を破壊しようが、
文化財を燃やし尽くそうが、老人や子どもを殺そうが、おかまいなしだ。

懲役1000年の罪を背負うべき者がのうのうと生き、人々の住み家を、作り上げた文化を、愛する人を奪っていく。

 

そんなに戦争がしたいのならば、戦争を始めた国のトップが人間魚雷に乗って戦艦に突撃すればいいのだ。片道燃料で敵機に突っ込めばいいのだ。
なぜ戦争をしたくない一般市民が、狂ったトップのために、家を失い命を落とさねばならないのか。

 

小学校で歴史を学んだあのころから、私は日本に原爆を落としたアメリカよりも、国民を戦争に巻き込んだ日本の軍部に怒りを感じていた。今もあのとき感じた感覚は正しかったと思う。国民の敵はアメリカではなかった。

自己の名誉のため、自国民の命を命とも思わず突っ走った軍部のトップこそ、日本国民が最も憎むべき相手だったのだ。

 

今ロシアでは「戦争反対」と声をあげた人々が、次々と逮捕拘束されている。
人々から自由な発言や活動を奪った治安維持法が、時代を超えて違う国で発動されているように見える。

 

あれほど先人たちが痛みを語り伝え、平和教育が広まり、情報伝達のツールが発達しても、また第二次世界大戦時と同じことを繰り返すのかと愕然とする。

 

里帰りをしたとき、祖母の顔を見に行った。
祖母は私の帰りに合わせて、サツマイモのチップスとポップコーンを作って待っていてくれた。


父と折り合いの悪い祖母は「テーブルに、透き透きじゃないアクリル板を置きたいわ」と言って私を笑わせた。「透き透きじゃない」というのは「透き通っていない、透明ではない」という意味だ。

父の顔が見えないよう不透明なアクリル板を置いて、一人でせいせいとごはんを食べたいというのだ。

 

89歳にもなる祖母が時事ネタを織り交ぜ、父をチクリと刺すようなことを言っている。日常会話のユーモアも冴えている。

脳トレをして、認知症予防に努めているらしい。

 

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ひな人形を飾ったから見ていくまっしと言われた

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脳トレをしているらしい

 

 

こうして家族となんでもない話をし、ああでもない、こうでもないと生きていく。
ときにつまらぬことで口論し、悔しがり、それでも笑い合い、思いやる。
こういう日常生活の営みこそ、人生で最も尊いことではなかろうか。

 

一般国民は領土の拡張なんてどうでもいいのだ。
温かい部屋で愛する人と食事ができる、そんな日常があればいいのだ。

 

戦争をしたいなら、言い出した者が人間魚雷に乗れ。
自分が指揮を執りたいならば、せめて家族を特攻隊に出してみろ。

 

私は普段、政治的な話をする方ではないのだが「戦争は絶対にしてはならぬ」という
気持ちは揺らいだことがない。

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自称ストーカーに会いに行く

2022.2.26(土)晴れ

 

昨年末、心の友ちーちゃんから気になる連絡があった。

「私の親友が、私経由のフェイスブックで絢ちゃんの投稿を見ていて、めっちゃ会ってみたいと申しております~。差し支えなければご紹介したく。彼女も一緒にご飯、またはお茶はいかがかしら~。たぶん仕事ができるオンナ同士、気が合うんじゃないかな~」

 

こんなことがあるのだろうか。

大変光栄だが、ちーちゃんが「盛って」言っている気もする。話の流れで「フェイスブックにブログアップしている絢ちゃん、私の知り合いだよ。会ってみる~?」みたいな軽い流れだったのではなかろうか。向こうから私に「会いたい」なんて言うだろうか。ちーちゃんは仲人上手だから、人と人を繋げるのが上手なのだ。

 

それでも嫌な気はしない。「もちろんです!いつもすてきなご縁をつないでいただき、ありがとう!私もお会いしたいです」と返す。

 

それから年末年始をはさんだり、大雪に見舞われて外出どころじゃなくなったり、オミクロン株が猛威をふるい始めたりと、なかなか会うことが叶わなかった。お誘いから2カ月後、ようやく私に会ってみたいと言ってくれているYちゃんに会いに行くことになった。

 

Yちゃんはもともとマスコミ業界にいた子でテレビにもよく出ていたので、むしろ私の方がよく知っている。

大きな目、厚い唇がセクシーで、安定感のある落ち着いたナレーションが魅力的な女性だった。年齢は同世代くらいだろうと思う。あのお方が、私に会いたい???

 

半信半疑だが、土曜日の朝、ちーちゃんと一緒にYちゃんが住む黒部に向かった。

11:30に黒部のカフェで待ち合わせだ。

この日は天気がよく、立山連峰がくっきりと見えた。

雄大な山々を見つめながら、わくわくと緊張が入り混じる。

 

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ドライブ日和だ

 

Yちゃんとの待ち合わせまでに時間があったので、富山大和 黒部サテライトショップなるものに入ってみる。食料品やお持たせ品がメインで、雑貨や婦人服も少し販売されていた。

 

私はちーちゃん大絶賛の「岐阜栗せんべい ふる里歳時記」なるお菓子を買い、ちーちゃんは「ようかんバイキング」と題されるコーナーで、一口ようかんを見繕っている。バイキングと書いてあるものの、買った個数分だけ値段がかかってくるので、バイキングではない気もする・・・と思ったりする。

 

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サテライトショップがあるんだ・・・お客さんひっきりなし!

 

11:30。Yちゃんとカフェの駐車場で、ごあいさつ。

「こんな遠くまですみません~。図々しく会いたいなんて言ってしまってすみません。絢ちゃんのブログは本当によく読んでいて、更新されなかったら、まだかなまだかな、と何度も見たりして・・・。異動になったときは、シリーズもので何話も書いてましたよね? 次が読みたくて、次の更新いつよ!?と思ったりもしてて。ちょっと油断してると、シリーズの③とかになってて、慌てて①から読み直したり。ストーカーみたいにチェックしてるんです。あの文章のどこまでが本意で、どんな思いで書いてるのか知りたくて。すごく読ませる文章で、ぐいぐい引き込まれてしまって・・・。絢ちゃんの影響で、私もブログを始めたんです!」とおっしゃるではないか。

 

ひとことごあいさつしただけで、社交辞令ではない熱を感じた。

Yちゃんは本当に愛読してくれている・・・。

 

激アツなあいさつもそこそこに、カフェに入る。

パスタランチのドリンクを選ぼうとメニューを見たらミルクセーキとあった。

ランチドリンクってコーヒーか紅茶か、ジンジャエールかジュースが定番だと思うが、そこに見慣れないミルクセーキの文字を見つけ、珍しい物飲みたさでそれを選ぶ。ミルクセーキって、もしかしたら人生で初めて飲むかもしれない。

ちーちゃんもYちゃんも「私もそうしよ~!」と、3人ともミルクセーキにした。

 

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きれいなお店 美味しい前菜

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人生初!?ミルクセーキ やさしい味💛

とてもおしゃれなお店で、出されるお料理も最高に美味しい。

店内ではご時世柄、ほとんどの人が無言で食べている。

 

きょうは美味しいものを食べるより、しゃべりたい・・・。

3人の思いは一致している。

しかしマナーは守らねばならない。

痛し痒しの状態で、目の前のお料理と向き合い、ほぼ黙食状態だ。

 

となりに座ったYちゃんが、しゃべりたくてうずうずしている感じが伝わる。

「私もだよ、私も同じだよ・・・」

そう心の中で思っていると、Yちゃんから驚きの提案が!

「絢ちゃんちみたいなお城ではないんだけど、本当に小さい部屋なんだけど、うちに来て思いきりしゃべらない?」と。

もっともパーソナルなスペース、自宅を提供しますというご提案が飛び出したのだ。

初対面なのに!なんたる心の許しよう・・・。うれしい。その気持ちが嬉しい。

 

「絢ちゃんちみたいなお城」という一言にもツウな一面を感じる。

いかに私のブログを読んでくれているかがうかがえるのだ。私はブログの中で我が家のマンションについて「お城ができた」「お城に引っ越しだ!」などという書き方をしていたのだ。

 

お邪魔させていただいたマンションは、きれいで居心地がいい空間だった。

テレビの上にウエディングドレスを着たYちゃんと旦那さんの写真が飾られている。

美男美女過ぎてため息が出る。

旦那さんお手製の切り絵も見事なクオリティーだ。

一日中このリビングで過ごしていたい。

ちーちゃんが買ってくれたケーキと、Yちゃんが用意してくれたお茶で、マスクティータイムが始まる。

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さあ、気兼ねなくおしゃべりしましょう!!

「北陸」という閉鎖的な地で「マスコミ業界」という戦場にいた3人は、土壌が一緒だから、どんな話題になってもすーっと話が進んでいく。共通の知り合いも多く、話の内容もリズムも心地いい。聞き上手で話し上手の3人の会話は、そのまま録音してラジオにしてしまいたいくらいだ。が、ラジオにするとやばい情報も多々含まれていて、それがまた面白い。Yちゃんは自身が発案した大きなプロジェクトの裏話を、ちーちゃんは今企んでいることの途中経過を話してくれ、大いに盛り上がる。

 

Yちゃんは私のことを「北陸にこんな女性がいることが驚きだった」と言ってくれた。「全力で仕事をして、それでいて恋もしていて、お城もあって、文章も書けて・・・みんなが欲しいものを全部持っている。出る杭は打たれる地域で、自分の意のままに好きなように生きている。都会ではそういうタイプの女性も多いが、ここでそういう風に生きている絢ちゃんに会って話をしてみたかった」と。

 

なんたる誉め言葉だろうか。真逆ないじわるな見方をすれば「仕事しかせず、いい年をして結婚もせず、実家が少し土地持ちらしいけど、下品になんでもひけらかすように書いている嫌な女」となる案件だ。

 

確かに北陸は「いい時期に仕事をやめ、結婚し、子どもを産み育てていく」ことを良しとする感覚が根強く残っている。

「結婚しなきゃというプレッシャーはなかった?」と聞かれた。

 

古い感覚の祖母や父はそう思っていたかもしれないが、私には何を言っても仕方ないと思ったのか特段何も言ってこなかった。母は「本当に子供はいらないのか?可愛いもんやぞ」と言っていた。「子供は可愛いもんだ」という母の言葉は、つまり私や妹が可愛いという意味が含まれているため嬉しいなぁとは思ったものの、私は家庭を持たない気ままな人生を自身で選択して今に至る。

 

Yちゃんは何度も「私、絢ちゃんのストーカーで」と言っていた。

確かに私のブログを細部まで読んでいないとわからないことまで知っていた。

「実は・・・」と、告白めいて話そうとしたことも、「うん、知ってるよ。ブログに書いてあったから」と言って私を驚かせた。

私のブログに登場する彼の年齢層や性格までもプロファイリングして、見事に言い当ててきた。

 

 私のブログはコソ読み族が多いことは自覚しているが、こんなに素敵な人までコソ読みし、分析までしてくれているなんて感激だった。

 私は責任をもって「全公開」にし、誰に読まれてもいいという覚悟でアップしているので、ストーカーでも何でもない。

 むしろYちゃんのことは「プラチナ読者」に認定し、何か特典をつけたいくらいだ。

 

 初対面と思えぬほど大盛り上がりのティータイムを終え、17:00ごろおいとまする。

 

 きょうのこと書いてもいい?と聞いてみる。

「きゃ~!あのブログに書いてもらえるなんて、ストーカー冥利に尽きるぅ」と、

どこまでも私を気持ちよくしてくれるYちゃん。

 

 Yちゃんは帰りにトラのふきんをお土産にくれた。トラ?何でだろう??と思っていたら「寅年にちなんで」とのこと。うれしい!

 

 ちーちゃんは帰り際に「きょうはありがとう」と、大和の包みを渡してくれた。

ん!?あっ!!朝買っていたようかんバイキングのようかんではないか!てっきりちーちゃんが自分用に買っているんだと思っていた。ようかん好きなんだなぁ、と思っていたら、私へのプレゼントだったのか。みんな、粋だ・・・。

 

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みなさんの心遣いが嬉しい 帰ってきてからも眺めてニヤニヤ

 刺激的で楽しい1日だった。

 自己満足と自己浄化のために書いていたブログが、こんな素敵な出会いをもたらしてくれるなんて、書いていてよかったとつくづく思う。

 

 実は去年、それなりに力を入れてあるエッセイコンテストに応募していた。良い知らせが来るなら今月中だったのだが、何の音沙汰もなく2月が終わろうとしている。

「あぁ・・・芽が出なかったな・・・」と思っている矢先に、こんなに素敵な時間が持てた。Yちゃんとの出会いは、エッセイコンテストの賞状より価値があった。

 

 捨てる神あれば、拾う神あり。

 

 腐らずに書き続けていたことのご褒美は、思ってもいない形で降ってきた。

あのころ、作家になりたかった

 

1月はとても忙しかった。

 

まあ、自分が悪いのだ。調子に乗って仕事を入れ過ぎた。

明らかにキャパオーバーだと思っても、一度断るともう依頼が来なくなるのでは、と不安になり「チャンスをありがとうございます」と、格好つけて受けてしまった。

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1月13日 再び寒波が

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リアル富山

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1月18日 雪は去年ほど大変ではなかった・・・

県警記者クラブと県政記者クラブの幹事社業務をこなしながら(たまたま2つが重なった)、日々のニュースを取材し、さらに2本の企画を並行して進めながら、滝行リポートにも出向いた。

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1月20日 気温1℃です

会社員である以上、こなした仕事量で給料が変わるわけでもない。

逆に残業が続けば「管理能力なし」と判断され、出世からは遠ざかる。

それでも仕事を入れてしまう。

どうして私はこんな風にしか生きられないんだろうと思った時、その原点を思い出した。

 

それは学生時代である。

 

あのころ私は「何者」かにになりたかった。自分の作品を世に出す人になりたかった。

 

私の学生時代にはSNSというものがなかった。作家になるには芥川賞直木賞でもとるか、とんでもない実力と運を兼ね備えていないと無理な気がしていた。

池袋のリブロという書店をうろつきながら「ここに私の本が並ぶにはどうしたらいいだろうか?」と迷走していた。

書いたものを出版社に送ったりしていたが、そうそう芽が出るものでもなかった。

 

売れている人が「眠る時間が欲しい」と言っているのを見て、心底羨ましかった。

寝なくてもいいから仕事が欲しかった。

締め切りが迫っても作品が完成せず編集者を待たせるなんて、何様のつもりだろう。

売れっ子のそんな話を聞くたびに、腸が煮えくり返った。

時間内に仕上げることも実力のうちだろうよ、と思っていた。

 

私だったら締め切りの3日前には作品を仕上げ、作品をブラッシュアップしてもらう時間も残しておくのに・・・!

仕事ゼロの学生の身でそんなことを思っていた。

 

結局、何者にもなれないまま、テレビ局に入社した。

若いころは、無駄に怒られたり嫉妬されたりで仕事がのらず「ひとつも面白いことがない」と、不貞腐れていた。今思っても、理不尽と思えることが多すぎた。

 

そんな不毛な日々をやり過ごし、数年前からだんだんと自分の表現したいものが表現できるようになってきた。企画を募集しているとあらば真っ先に企画書を出し、「この枠で何か作れる?」と言われれば、全部受けた。

 

それゆえ「今、頭の上に鍋を置いたら、カレーでもシチューでもなんでも煮えるな」と思うくらい忙しい日々が続いた。頭のてっぺんの、特に右側がぐつぐつしていた。

考えること、処理することが山のようにあり、TO DOリストに丸をつけてもつけても、次のミッションが立ちはだかる。

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美味しいものを食べて乗り切ろうとする、も、眠くなる( ´∀` )

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何食べてるの~?と聞かれ・・・「ミックスフライね!」

 

夜中に帰ってくる。さっさと寝ればいいものを、感覚が振り切れてしまっている。

気付いたら、私は黒いバスローブを羽織り、白髪染めをしていた。

夜中3時、妖怪 白髪染め女 富山市内に出現す。

 

きれいに染まった髪を見て、あすの取材も頑張ろうと思う。

もう日付が変わっているので、あすというよりきょうになるのか・・・。

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伝説のコンビニ 立山サンダーバード

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木材研究所 「圧縮木材」の製作工程を取材

 

フリーランスの作家が「忙しくて眠れない」というのと、会社員の私が「忙しくて眠れない」というのは質が違うことは重々分かっている。

前者は「売れっ子」だが、後者は「ただの忙しいサラリーマン」だ。

 

それでも私は、今の生活に意外と満足している。

あのころ渇望していた日々が、今まさに手に入っている。

 

本の出版には至っていないが、テレビで自分が作った企画や番組がオンエアされることは、何事にも代えがたき幸福である。

「はぁ~忙しい~」と言いそうになる一言を、「はぁ~幸せ~」に変えてみる。

それはそれで本心なのだ。

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ご褒美はおいしい物・・・なう断食中でこれを書いている地獄・・・

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ぐふふ 幸せ 幸せ

滝修行 裏話② ~唯一の後悔~

滝修行 裏話①のつづきです(①から読んでね)

 

大寒の滝修行は絵になるため、アマチュアカメラマンも多く集まる。
私たちTVクルーが、滝に入ってよいか住職に許可をとろうとしているとき、行儀の悪い一部のアマチュアカメラマンから「住職はいいと言っていたよ。目の前の焚火が消えないうちに、早く浴びてくれ。焚火越しのあなたを撮りたいんだ」と、リクエストが入る。


が、そんな勝手な言い分には乗らない。私は粛々と正しい手順で撮影を行いたいのだ。

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まずは気温リポートから 1℃です

住職は私のもとに来てくださり、滝行前の儀式をしてくれた。

刀のようなもので背中を斬る。住職は「『恐れ』と『迷い』を斬っておきましたので、迷いなく滝へお進みください」と、促してくださった。

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滝行前の儀式 これしてもらったの初めて!

明治元年に建てられた高さ5・5mの六本瀧。

実は冷たさより、圧にやられてしまう。

 

どどどどどどどどどど・・・

滝に入ってしまったらあとは耐えるのみ。
難しいことはない。耐えればよいのだ。

 

どどどどどどどどどど・・・

圧がすごい


どどどどどどどどどど・・・

刺さるような冷たさだ

 

修行中、私は可能な限り目を開けようとした。
カメラマンが、どこでどんな絵を撮っているか把握するためである。
カメラマンの「もうOKだよ」という合図を見るためである。


どどどどどどどどどど・・・
しかし目の前の水しぶきで、視界はいつもの4分の1ほどしかない。

住職が私を見つめている気がする。
「もういいですよ、長すぎますよ。倒れる前に出てきなさい」と言っているようにも見える。

 

マチュアカメラマンの軍勢が大声で何か叫んでいる。
頑張れ!と、声掛けでもしてくれているのだろうか。

どどどどどどどどどど・・・
しかし、滝の音がすごすぎてわからない。

 

あらゆる情報がうっすら入って来るが、その本意が分からない。
そうして私はゾーンに入っていく。えいっ!やー!えいっ!やー!
それが落差5・5mの滝の下の環境である。

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ゾーンに入ってるときかも・・・

Nカメラマンが遠くへ行った。

ラストカットのロング(広い映像)を撮っているのだろう。

カメラマンが手をあげたように見える。よし、OKが出たようだ。


私がよろよろと滝から出ようとすると、カメラマンは私に駆け寄り「まだです」と言った。
あぁ、さっき手をあげたのは「待て」の合図だったのか。

私は再び滝に戻り、修行を続けた。

 

後でスタッフに聞いた話によると、アマチュアカメラマンが大声で叫んでいたのは「あと半歩奥へ」と言っていたらしい。
頭の頂点で滝を受ける写真が撮りたかったようで、「あと半歩奥へ」と。
聞こえていれば対応したが、滝の音がすごすぎて聞こえなかった。

何なら私への「頑張れ~!いいぞ~!!」という声援だとすら思っていたが、まさかのダメ出しだったとは!

 

スタッフは続けて言った。「なかっさん、長かったですよね。いつまで浴びてるのかと思いました。住職のお経が1周してもまだ出てこないから。住職もちょっと手持ち無沙汰の様子でしたよ」と。

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お経が終わっても浴び続けた私・・・

やはりそうだったか。何だか異様に住職と目が合うなぁと思っていたのだ。
後でVTRを確認したところ、私が滝を浴びていた時間は約2分半だった。

 

Nカメラマンは「滝修行の後、おじさんたちが嬉しそうになかっさんの世話してましたね。ぞうり履かせたり、手を握ったり。僕、遠くから見て笑ってしまいました」と言ってきた。

そうだ・・・。確かにそうだった。

滝修行の後、一番困ったのは足の感覚がなくなったことである。

体ではない。足なのだ。
ぞうりの鼻緒を、親指と人差し指の間に通すことすら困難になる。

そんな私におじさんたちは手を貸し、ぞうりを履かせてくれた気がする。

 

Nカメラマンは「ぞうりおじさん」しか見ていないようだが、実は他にもおかゆおじさん」「階段おじさん」がいたことを思い出す。

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その日寺では無料でおかゆをふるまっていた。滝修行後、一刻も早く風呂に入りたい私に、おかゆおじさんは「おかゆ食べていかれ。あったまるぞ~」と促した。


おかゆより先に風呂に入りたかったのだが流れに逆らえず、私はずぶ濡れのままおかゆをいただいた。お寺のおかゆはお餅も入っていておいしかった。

 

おかゆを食べ終えた私は、いよいよ風呂に行こうとした。

あの階段の先に風呂があることは確認済みだ。
しかし、風呂場に通ずる階段でぞうりが脱げてしまった。

もうどうにもこうにも足が冷たすぎて、再び足をぞうりに通すことすら困難である。

私はふらふらとよろけ、ぐつぐつとお茶を煮ている窯に寄りかかろうとしてしまった。

 

するとそこに階段おじさんが飛んできた。
「そこは熱いぞ!窯だぞ!!危ないぞ!!!まずはぞうりを履かんと!」
「駄目なんです。足が冷たすぎて履けないんです」

階段おじさんは私の荷物を持ち、風呂場への道を先導してくれた。

 

そんなやりとりをしていると、次はアマチュアカメラマンおじさんがやってきた。
「階段降りとるところ撮らせて」と。
「それができないんです。足が冷たすぎて。ぞうりが履けなくて」
もう、ぐっだぐだである。

 

私はぞうりを履くのを諦め、素足で雪の上を歩き、ようやく風呂がある建物にたどり着いた。
いよいよ、待ち望んだ風呂だーーー!

 

が、「今、男性の団体様が入られているんで、お待ちください」と言われてしまう。
何!?風呂は男女分かれているんじゃなくて、時間をずらして入るシステムなんだっけ??もう、何もかも分からない。
私は石油ストーブの前に足を出して、10人ほどの男性たちが風呂から上がってくるのを20分ほど待った。

 

無事に風呂に入り、会社に帰ったのがお昼過ぎだった。

ばばっとドライヤーで髪を乾かした後、映像をチェックする。

そしてその映像を見た瞬間「やっちまったー」と、私は大後悔の渦に呑み込まれた。

 

私がこの滝修行を「朝メシ前の仕事だ」と言い切っていたことは①でも書いたことである。それゆえ、そこに照準を合わせた準備をしてこなかったのだ。それがダイエットだった。


年末に、断食やら、水泳やら、加圧トレーニングやらを組み合わせて絞ったアゴが、ここのところの忙しさでそれらをさぼり、元の二重アゴに戻っていた。油断していた。

 

滝修行はノーマスク。カメラマンは私の表情を狙い、かなりアップに撮る。
大きく映し出された映像の中で、二重アゴの私が悶絶している。

あぅあぅあぅあぅあぅ。時すでに遅し。

 

まあ、二重アゴにくよくよしていたのは私だけのようで、東京のデスク陣からは「そんじょそこらの芸人が勝てないリアクション」「神々しい」などとたくさんお褒めの言葉をいただいた。

 

↓北海道のきれいなダイヤモンドダストの映像のあとに、私の二重アゴ滝リポート

news.tv-asahi.co.jp

 

神奈川の妹からも、「あのリポートはボーナス金欲しいね」「これをかって出る女性記者はなかなかいないよ」「これが女性がやる取材体験か!?っていうところにすごさがあるね。これはすっごいわ」「お姉はあの滝行やりたかったん?頼まれたからか?自分からか?なんであんなことするんや?この極寒の時に!!」と、立て続けに熱いメッセージが入ってきた。


日々の仕事に苛立っているときは誰も手を貸してくれず、苦しんでいることにすら気付いてくれないが「わかりやすい苦しみ」って、こんなにみんなから「頑張ったね」と称賛されるだなぁ・・・と、俯瞰する自分がいる。コスパがいい仕事である。

 

「中田さん、来年5度目もお願いします!笑」と、冗談めいたリクエストが入る。

「もちろんでございます!こんなの朝メシ前の仕事ですから」と返信した。

滝修行 裏話① ~朝メシ前の楽な仕事~

ホワイトボードに大寒と書かれている。

大寒と言えば、富山では上市町の日石寺で行われる滝修行が有名だ。

地元局はニュースネタでも取り上げる。

年明け早々「今年、どうします?」とカメラマンに言われていたが、2本の特集を抱え、てんやわんやの忙しさだった私は「まぁ直前の気分で決めるわ。東京のデスクにも聞いてみてから」と放置していた。

 

大寒前日、私は東京のデスクに電話した。

「あす恒例の滝修行があるんですけど、どうしましょうかね?」と。

デスクは「中田さん、前もやってなかった?あす雪だし絵になるけど俺からは浴びてきてって言いにくいんだよね。パワハラになっちゃうと嫌だし。中田さん自身に浴びる意思があるなら、お願いしたいけど」と弱腰である。

あぁ、時代だなあと思う。日常会話からもコンプライアンス意識を感じる。

 

「他のニュースが立て込んでいるから、滝修行はいらないわ」と言われれば行かなかったが、私の意思さえあればご入り用とあらば行こうではないか。

私は「じゃあ、行ってきますわ。7年ぶり4度目なんですよ」と言った。

デスクは「甲子園みたいだね。中田選手の戦いぶりに期待してます」と返してきた。

 

このやりとりを聞いていたNカメラマンが、率直な質問をぶつけてきた。

「なかっさん、本当はどんな気持ちなんですか?行きたかったんですか?それとも『行かなくていいよ』と言われた方がよかったですか?」と。

 

私は答えた。

「本当にどっちでもいいんよ。滝修行って、私にとっては朝メシ前の仕事というかさ。

ぶっちゃけ、日々の記者業務・ディレクター業務の方がきついんよ。企画立てて、現場仕切って、原稿書いて、編集してさ。いつも現場が滞りなく進むとも限らないし、合わない人もいるし、感情がぶつかることもあるし、嫌な交渉をしなければいけないこともあるし。そんなこと思えば、滝って浴びれば終わるやん。私にとっては楽な仕事のひとつかな」と。

 

カメラマンは大寒の滝修行が朝メシ前の仕事・・・なかっさん、すごいっすね・・・」と絶句していた。

 

本当なのだ。体を張る仕事って、別にそんなにきつくない。むしろ頭を使い、センスや能力を問われる仕事の方がよっぽどきついと思う。

 

私は大急ぎで御用達のGUに行き、白装束の下に身に着けるベージュの下着類を購入した。透けても大丈夫なよう、二枚重ねで挑もう。これでずぶ濡れになっても、見苦しい映像になることはないだろう。

 

寒修行当日。北陸地方は寒波のピークだった。朝からしんしんと雪が降っている。

カメラの場所取りのため、Nカメラマンと私は朝7時に支局を出た。

10時から住職による儀式が行われ、その後参拝者や記者も滝修行ができることになっている。

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雪の大岩山日石寺(富山・上市町) 奥に見えるのが滝

私は7年ぶり4度目なので、少し勝手が分かっていた。

まず確認すべきは風呂の場所だ。修行後は真っ先に湯船に飛び込みたい。

今年の女風呂はあの建物ですと事前に教えてもらい、行き先が分かった。

階段下のあの建物を目指せばいいんだな・・・。

 

一般参拝者の気迫あふれる滝修行を撮影した後、私は着替えに向かった。

滝で流れて目元が真っ黒にならぬよう、いつも目の下に入れているアイラインは入れなかった。唇が紫色になると幽霊のようになるので、元気に見えるよう赤い口紅を塗った。

カメラマンには「私は気迫でどれだけでも浴びられるから、撮りたい絵をすべて撮り終えたら合図してくださいね」と強気なことを言った。

 

修行も大事だが、映りも大事だ。午前10時半。私は煩悩まみれで滝に向かった。

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雪だ・・・絵になる

滝修行 裏話②につづく