ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

見られる女

選挙の現場に身を置くことがある。

候補者が男性だった場合、私が見てしまうのは候補者本人より妻だ。

私自身、女性に対してそんなに意地悪な目を持っている方ではないと自負するが、

それでも一瞬にして妻を見る。

この候補者を支えているのはどんな妻なのだろう?と、興味が湧くのだ。

服装、アクセサリー、髪型、ヒールの高さ、立ち振る舞い、言葉遣い、腰の低さ、

感じのよさ…

ほんの数分その場にいるだけで、ちょっとしたスピーチを聞くだけで、だいたいのことが見えてしまう。

自分で書いていてぞっとするが、女性の目というのはそういうものなのだ。

候補者の妻とは、誰よりも「見られ、判断される」存在なのではないかとさえ思う。

それゆえ選挙戦は、妻の存在にかかっている部分も大いにあるだろう。

市民は奥さんを見る。これは否めない事実なのだ。

 

令和に入り、いろんなスタイルが認められる傾向にあるとは思うが、

多くの市民が理想とするであろう妻像は「控えめで感じがよい」

これに尽きるのではないかと思う。

 

ふと想像してみた。

もし付き合っているパートナーが出馬するようなことになったら、私はどうするのだろう?と。

そうして思うのだ。

私はまったく市民に支持されない女に違いないと。

マイクを持ったら、パートナーよりちゃべちゃべとしゃべってしまいそうだ。

自らウグイス嬢をやりたいと申し出て個性的な実況を繰り広げ、大ブーイングが

起きそうだ。

出しゃばる。悪目立ちする。自分の世界観が強すぎる。

私が市民だったら、私みたいな奥さんには嫌悪感を抱く。

私が隣にいることで彼の得票数が伸び悩むことが、自分自身でわかってしまう。

 

ものは試しと、彼に問うてみる。

「ねぇねぇ、出馬したい?」

「しないしない。まだ…笑」

「ぶは~。いつかするのか?独特の世界だわ うちらにはあんまり向いてないだよ」

「だろーねーー」

こんなゆるい感じでLINEのやり取りは終わった。

 

政治家の妻はある意味、専門職とすら思う。

控えめでかわいらしい性格が、立ち姿から伝わることがある。

女性の私から見ても、こんな人を奥さんにしたいと思うような妻もいる。

 

人には持ち分があって、それぞれが輝く場所で成果をあげるのが一番いいのだろう。

出るのか、支えるのか、太陽役なのか、月役なのか。

 

最近ふと、頭の中に降りてきた言葉がある。

「多少のスキャンダルや噂話は、私にとってはアクセサリーだ」というもの。

 

こんなキケンな思考が降りてくること自体、政治家の妻に向いていない証だと思う。

 

私はこうして書いたり、しゃべったり、ときには嫌悪感を抱かれながら生きていくのが性に合っている。