年末温泉旅 VOL①
2019年12月30日(月)くもり
ずっとこの日を楽しみにしてた。年末の温泉旅。行先は富山県黒部市の宇奈月温泉。
今年は人生において大きな大きな決断をした年だった。ここ数年、胸が締め付けられるような苦しい日々を送ってきた。人にわかってもらえるような内容でなく、同情を得られるような内容でもないため、一人で悶々と抱え続けてきた。
自分の意志と反対の方向に引っ張られ「そっちには行かない、現状維持で生きていく」と訴え続けていたがうまくいかず、ばたばたしている間に母親との関係も悪化した。体も心もちぎれそうな日々だった。
その問題が今年の末ごろにかけて、徐々に終焉を迎えることになった。
思い返せばあまりに苦しくて顔が洗えない時期があった。顔をお湯につける瞬間に、
息ができなくなることが怖かったからだ。顔の洗い方がわからなくなり、息の仕方もわからなくなり、大パニックになりながら、数年間私を苦しめ続けた問題は2019年末に静かに終わりを迎えた。
「もうあのことで悩まなくていい」と思うと、楽になった。もう自分がどうにかできる立場になくなったことで、あきらめがついた。
この温泉旅行は長年の呪縛から自分を解放する旅でもあった。温泉に浸かって脳を休めたい。
9:30ごろ彼が迎えにきて宇奈月方面へ向かう。各サービスエリアなどもゆっくり巡りながら行く。
魚の駅生地(いくじ)は、年の瀬に大盛況だった。カニや昆布締めなど魅力的な海産物が並ぶ中、彼は「おやつに食べるにぼしが欲しい」と言い出し、店員のおっちゃんに「あすも営業していますか?にぼしは残っていますかね?」と聞いていた。おっちゃんはなんの根拠もなく「大丈夫だと思いますよ。残ってますよ」と言っていた。私も年の瀬ににぼしを買い求める人はそんなにいないと思うので、根拠もなく大丈夫な気がした。
彼は店を出てから「本当にあした残ってるかな?」とつぶやいているので「そんなに気になるなら戻って買ったらいいやん!誰もにぼしに注目してないと思うけど」と言う。にぼし。にぼし。
14時ごろから宇奈月温泉街をうろうろ散歩。
宿泊は宇奈月温泉の1番奥地にあるホテル黒部。
ホームページで見ていて「この部屋だったらいいな」と思っていた和洋室だったので
テンションがあがる。「すのこ」ってすごくて、部屋の向こう側で電気をつけていても、ベッドスペースは眩しくない。
夕食前に温泉に入って、おなかを極限まですかせて夕食会場へ。
地酒の飲み比べセットを注文して、ちびちびと味わう。銘柄は立山、銀盤、満寿泉。
隣の席の家族がジャーからごはんをよそって食べている。
彼が先にそれに気付き「ごはんは好きなときにあのジャーからよそえばいいんかね?」と言う。
おお~。確かに。隣の人はあそこに列をついてよそっている。
念のためサービスの人に聞いてみた。
「ごはんはあのジャーからよそえばいいんですか?」と。
するとサービスの女性は「あっ、あれは向こうのお客様のごはんです。もうごはん召し上がりますか?今持ってまいりますね」と私たち用のごはんを持ってきた。
あぶなーー!!うっかり人んちのごはんを食べに行くところだった。
温泉は夜も楽しい。
本を読んだり、おやつを食べたり、レコード大賞でも見たりしようではないか、とわくわくしていたのだが、温泉からあがるともう眠くてどうにもならなくて、わりと早めに寝てしまった。泥のようにベッドに沈む・・・。それもまたいい思い出。