ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

10年分の日記が消えた VOL③

シリーズで書いているので、VOL①から読んでもらえるとうれしいです♪

 

2019年12月27日(金)くもり

 

その日は午後4時に彼が迎えに来て、テールシチューの材料を買いに行くことになっていた。10年分の日記が消えたショックと、会える喜びが交互にくる。が、どうしても

日記が消えたショックにテンションが引っ張られている。

 

何とか気持ちを立て直さなければ・・・と思っているところに、彼からラインが入る。

午後3時。約束の1時間も前。「近くまで来たのでいつでも迎えにいけるよーん」

ぐほほ。浮かれている。こっちはあと1時間の間に何とか気持ちを立て直そうとしているのに。「もう少しプラプラしてて。3時半には出られるように準備する」ふぅ~。

 

そうこうしている間に彼がうれしそうに迎えに来た。サーティワンアイスクリームの無料クーポンがあるからアイスを食べようという。何味にする?と聞かれ、「ポンピングシャワーだけはやめて」と告げる。口の中でパチパチはじけるタイプのやつだ。今は、あんなにアメリカンな感じで、口の中でおどけられてはたまったものではない。

結局、期間限定の「コットンキャンディ」にする。甘くてやさしい、わたがし味のアイスクリーム。一口食べて驚くほど幸せな気分になった。なんて幸福な味なんだろう。

 

「おいしい💛」「10年分の日記が消えた・・・」という相反する感情が交互にやってくる。この感情の波を悟られないよう冷静な顔でアイスをほおばっていると、彼が会話の中にまあまあ大きなネタを2つばかり盛り込んできたので、それはそれで驚く。

 

ふだんならばその2つのネタで大いに会話が盛り上がるところなのだが、きょうは消えた日記のことで頭がいっぱいでそのネタを膨らませる元気がない。「ごめん。実は、それどころじゃなくて・・・。Cちゃんと2人で続けてきた10年分の日記が消えたことがさっき分かって・・・。今、呆然としてる」と話す。

彼は「何が起こるか分からないものだね。1~2年ならともかく10年は計り知れないね。でも2人で書いていて2人とも気づかなかった?」と口にした。そうなのだ、2人ともたまたまブログから少し遠ざかっていた時期だったのだ。

 

「どんたく」というスーパーでテールシチュー用の肉を買う。石川県にあるこのスーパーは肉と魚に定評がある。牛のしっぽで作るシチュー。彼は圧力鍋で煮込めばほろっと崩れるよ、と言っていた。

 

そもそもなぜテールシチューを作ることになったかといえば、クリスマスプレゼントにもらった圧力鍋を使いたくて仕方なかったのだ。ある取材中、料理の先生が言っていた。

「圧力鍋を持っていない人~!冬のボーナスが出たらぜひ買うべきです。普通の鍋は

100℃の世界。圧力鍋は120℃の世界。この20℃の違いで、できることがぐんと増えます」と。

 

私は未知の20℃の差を体感したくて、圧力鍋を所望した。そしてプレゼントされてからは取扱説明書を熟読した。圧力がかかるとピンが上がるとか、火を止めても調理は続いているとか、普通の鍋とは勝手が違うことをまず書面で学んだ。火傷をしないよう、事故に合わないよう、トリセツ大嫌いな私がかなり真面目に読み込み、圧力鍋の性質を覚えつつある2019年冬。

 

テレビはミュージックステーションSPウルトラスーパーライブ。11時間にわたる生放送を見ながら年末感を噛み締める。菅田将暉が熱唱する『まちがいさがし』米津玄師プロデュースの曲だ。

「いい曲だよね。令和って感じがするよね」「米津玄師の曲って、意表をつくメロディーが心地いいよね」「よねづげんしじゃなくて、けんしなんだよね」などと、たわいもない茶の間の会話を繰り広げながら、圧力鍋で作ったテールシチューをほおばる。美味しい・・・。なんだろう。この「髄」から出ているようなスープの力強さ。うまみの底上げ感はかなりのものだ。肉が骨からほろっと崩れてくるようなことはなかったけれど、味は抜群だった。

 

わたがし味のアイスがおいしくても、米津玄師の曲に浸っても、テールシチューが上手にできても、心のどこかに「でも10年分の日記が消えたんだよな・・・」という現実を引きずりながら過ごしたきょう。

 

ニトリで新調した冬用の布団カバーにくるまる。その肌触りが気持ち良すぎて、「はぁ~気持ちいい~~」と幸せに包まれる。でもその直後に「でも日記が消えたんだった・・・」と思い出す。

 

レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返すように、幸福感と絶望感を繰り返し、極上の肌触りに身をゆだねる。Cちゃんは今頃何をしているだろう。

 

10年分の日記が消えた VOL④につづく