ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

2023滝修行ウラ話①

師走。「もうそろそろあの季節がやってくるな」と思い、憂鬱になる。
1月20日、大寒の滝修行だ。
富山県上市町(かみいちまち)の大岩山日石寺(おおいわさん・にっせきじ)で行われる。
別に誰に頼まれたわけでもないが、富山にいる限り、あの滝修行ロケは欠かせないと思っている。

 

ふとしたときに思い出す。
例えば、サウナから出て水風呂に入るとき。
「ああ、この冷たさは滝行を思い出すぜ・・・」と思う。
例えば、家でシャワーを浴びているとき。
「滝行はこの100倍の水圧がくるんだよな・・・」と思う。

 

最初に滝を浴びたのが2012年。

その後富山支局にいる間は浴び続け、今回で5回目となる。

2022年1月 初の滝修行 初々しいな・・・

2014年 2回目の滝修行

2014年 9年前はまだ耐えられたが・・・私もまあまあ年だ・・・

年が明けたら、いよいよ滝修行に向けて身体と気持ちを作らなくてはーと思い始める。
別に誰にも頼まれたわけでもないし、私が一言「今年はやめておきますわ」と言えばそれで済む。別に誰も私に強制していない。
しかしドMな私は「ここで逃げたら、逃げ続きの人生になる」などと思ってしまう。
言ってしまえば、自分との戦いなのだ。


だんだんだんだん日が迫ってくる。
痩せなければ、痩せなければ、と思うほどに食べてしまう。
せめて運動でもしようとも思うが、寒すぎて走りに行く気もしない。

 

白装束1枚で滝に打たれる修行は、すべてをさらす行為だ。
体型をカバーする服を着ることもできず、二重顎を隠すマスクも外し、厚めに塗ったメイクもすべて水にたたき流される。
最初に浴びた年から11年の月日が経ち、あまり使いたくない言葉だが、自身の見た目が「劣化」していることも自覚している。


こんなにうつうつとしている中、滝修行前日に富山紅茶の会のイベントが入っていた。
美味しい紅茶とスイーツをいただきながら講座を受ける、私の大切な癒やし時間だ。
できれば滝修行を終えた後に楽しみたいイベントだったが、しかたあるまい。
私は紅茶の会に出席し、翌日の滝修行のことを頭から抹殺しようとしていた。

富山紅茶の会 私の大好きな時間💛

その日は、フランスの新春の伝統行事ガレット・デ・ロワが行われた。

丸いパイの中に1つだけフェーブが入っていて、当たった人は1年の幸せが約束されるという。参加者6人がキャーキャー言いながら盛り上がる。

このパイの中にフェーブと呼ばれる人形が1つ入っています 当たりは誰に!?

 

結局友人のちーちゃんのケーキの中から、可愛い卵のオブジェが出てきてた。

ちーちゃんの頭には先生手作りの王冠が乗せられ、お祝いされた。

ああ、楽しい。紅茶の会よ、このまま終わるなかれ・・・!

可愛い卵のオブジェが出てきた!おフランス製だそう

大盛り上がり!!!

ちーちゃん、王冠似合うね👑

 

しかし、紅茶の会が終わってしまった。

ちーちゃんが「時間大丈夫?ランチ行く?」と誘ってくれた。
「いく、いく、いくぅ!」と乗っかる。少しでも誰かといて、あすのことを忘れたい。

イタリア料理 IL GRANO ガラス作家・坂田裕昭さんの『ななこ文様』のグラス

美味しいランチも終わってしまった。ちーちゃんが「家くるぅ?」と言ってくれたので「いく、いく、いくぅ!」と食い気味に飛びつき、17:00までおしゃべりに興じた。

九谷焼のお皿にお菓子 ちーちゃん家の器を見るのが好き

しかし、現実逃避もここまでだ。帰って家にひとりになると、とても心細くなってきた。
私は恋人に「あす、滝なんだよね。怖くてクヨクヨしてる。動画で応援メッセージほしいな」と頼んだ。
彼からは心頭滅却すれば水もまたぬるし!」などという凝ったメッセージが届いた。しかし、私が望んでいたものとは程遠い。なんか違う・・・。
気持ちはありがたいのだが、やさしすぎる。そうだ。今さらだが、彼はやさしい人なのだ。

なんというか…。教官のように「行け!飛び込んでこい!」と、強めに怒鳴ってもらいたいほど私は追い込まれていた。なんなら現場に来て「行けよ」と、乱暴に肩を押してほしいくらいだ。

 

そもそも私は何におびえているのか。

1番怖いのは頭から滝を浴びる瞬間だ。一瞬、溺れたかのような感覚になる。

ひぃい・・・あぷぷ、あぷぷ・・・

このまま息ができなくなるのではーと思ってしまうのだ。
あの瞬間をどう、乗り越えるべきかー。


朝になってしまった。「あぁ、決戦の金曜日だ」

体重計に乗る。結局、目標体重より2㎏重いままだった。
準備が完璧でなくても、来たるべきときは来てしまう。

 

体と気持ちがブリキの人形のようだ。自分自身で自分のねじをまく。

ぐりぐりぐり ぐりぐりぐり。
絢子よ、さあ進め。行くしかないんだ。

 

「滝なんて浴びれば終わる。M1グランプリに出る芸人の緊張と比べれば屁でもない」などと自分に言い聞かせ、私は家の玄関を出た。

 

(滝修行ウラ話②つづく)