恋愛体質
気になる男のコを家族に内緒で部屋に入れた。
見つめ合いたい。おしゃべりしたい。何を話そうか・・・?
そう思ってわくわくしていると、私が部屋に一人でいると思っている祖母から声がかかった。
「イチゴあるから食べにおいで」
私は男のコに「ごめんね。とりあえずイチゴ食べて、ばあちゃんの気をおさめてくる」と言って台所にいく。
早く部屋に戻りたい。そう思いながら私は「おいしい~」と祖母に愛想をふりまき、イチゴをほおばる。
部屋に戻ったら、次は母が勉強の進捗具合をチェックしに来そうだ。本当に邪魔だ。
なかなか目の前の男のコに集中できない。
私の成績が悪いからいけないんだ。
バリバリに勉強ができて、学年トップクラスの成績ならば、こんな心配もされないのに・・・。
あぁ~。好きなコと思いきり笑い合ってずっとしゃべっていたい。
そんなシーンで、ハッと目が覚めた。わりとリアルな夢だった。
高校時代、好きなコが目の前にいるの恋愛に没頭できなかった。
家族には何となく言いたくない、受験勉強にも追われている。
毎日満員バスに乗って、学校にも通わなくてはいけない。
だるい。つまらない。もどかしい。はやく自由になりたい。
欲求も興味も溢れそうなのに、抑圧されるシステムにできている。
そうしないと世の中のタガが外れてしまうのだろうか。
あの頃、好きな人のことだけを考えて、ただただ漫然と過ごしてみたかった。
あれから数十年(なんか、きみまろチックだな笑)
あんなに所望していたことが、許される環境にある。
仕事さえきちんとこなしていれば、
好きな人のことを無限に考えていてもいいのだ。
LINEのメッセージを無駄に何回も読み直したり、
たわいもない話で盛り上がったシーンを反芻したりする。
好きな曲を聴きながら、浸るのもいい。
もう家族のことなど気にせずに、部屋に招き入れることもできる。
ごはんを食べて、おやつを食べて、お酒を飲んで、お風呂に入って、一緒に寝ても
誰に咎められない。ずっと好きな人の匂いを嗅いでいられる。
無限に、無限に、味わい尽くせる。
いい年をしてまあまあ気持ち悪いことを書いているが、これが本心だ。
誰からも指摘されたことはないけれど、実は恋愛体質なのではないかと自分で思う。
目の前に自由があると、そのありがたみを忘れそうになるけれど、
いまいちど噛み締めよう。そう思わせてくれた、朝方の夢。