ayakonoheya’s diary

日々のことを、ありのままに

イグアナに一目惚れ①

「猫の動画を見るのが癒やしの時間ですぅ~」などという、いわゆるかわいい女子のコメントを聞くたび、「ふぅ~ん」としらける自分がいた。

ウソではないのだろうが、面白くないし、センスがあるコメントでもない。

「本当は別にもっと好きな動画があるんじゃないのぉ~?」と思ってしまう。

私も猫は好きだが、動画を見て心が癒やされるということは特にない。

「にゃ~ん にゃ~ん」とそこにいる猫を撫でまわしたいとは思うけれど。

 

そんな私が今、おそろしくハマっている動画がある。イグアナだ。

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フリー素材より これぞイグアナ!という写真を発見 

実は数日前、イグアナが逃げ出し警察官が捕獲したというニュースを取材したばかりなのだ。(飼い主はわりとすぐに見つかった)警察署内のケージにいるイグアナと目が合ったときから、私の中で何かが弾けた。

 

体長およそ1m。イグアナはケージの中で比較的おとなしく、お利口にしていた。


他局がすでに取材を終え、現場にはうちのクルーと副署長しかいなかったので、私は目線を合わせてイグアナに語り掛けながらリポートをした。

「こんにちは~。お元気ですか~。どこから来たんですか~?」


イグアナは私の質問が終わるたびに、少し首を傾け、まばたきをし、私の話を聞いているようだった。

 

「イグアナ、かわいい・・・」これは人生42年目にして衝撃の瞬間だった。

 

これまで私は、カエルやヤモリやヘビなど、両生類・爬虫類が大大大の苦手だったのだ。

家にヤモリが入り込んだときには「うぎゃぁああああああああ」と悲鳴を上げ、泣きわめき、妹とともに震え上がった。

その様子を見た母が、果敢にほうきをもって現れ「あっちいけ!やあっ!!とおぅ!!!」と言いながら、ヤモリを追い出す光景が、夏の風物詩だった。夏という季節は好きなのに、そろそろあいつ(ヤモリ)が出るころだと思うとかなり憂鬱になった。

 

ヤモリひとつで震え上がる私が、イグアナに興味を持ち始めた。


母と私と妹の3人で作る「3姉妹グループライン」で、私はイグアナがいかに可愛かったかを力説した。母もテレビで私の様子を見ていたので「イグアナ、絢と語りたそうだったね」と理解を示した。

 

「ヤモリは!?もう怖くないの?」と妹が聞いてきた。


確かに。ヤモリは怖いのに、なぜだろう。小さい方が神出鬼没で、カサカサカサッといつどこから現れるか分からず気持ち悪い。でも1mのイグアナは十分な存在感があり、そこにいることが分かるので、逆に安心なのだ。

 

それから私は、イグアナにどっぷりとハマり始めたのだ。
仕事が終わると一目散に家に帰り、イグアナの動画鑑賞に没頭する。
飼い主にお風呂に入れられ、目を閉じてうっとりしているイグアナの可愛さといったらない。飼い主におんぶされているイグアナ、犬と仲良くしているイグアナ・・・。

私はこれでもか、これでもか、というほど、イグアナの画像・動画を検索しまくり、
帰宅後の時間は、イグアナの動画鑑賞だけで終わっていく日々が続いた。

 

コロナ感染防止のため、長いこと会っていない彼に「コロナが落ち着いて、今度私の部屋に来たら『やあ』ってイグアナがいたらどうする?」とLINEで尋ねてみた。彼は「きゃー!それだけはやめてー」「お部屋に入れないよー」という。

 

妹は楽観的で「大丈夫!愛のパワーで、彼もイグアナ好きにさせるんだ!どれだけ可愛くて安全かを説明して、一晩寝ればもう家族だ」と言っている。

 

そうかと思い「妹もこう言ってるんだけど・・・」と、彼に伝えるが「ダメダメダメダメ!一晩寝ても、一年寝ても、家族にはならなーい!」と返事が来る。
「エサとか大変だよ」「臭いよ、きっと」とマイナスワードばかり繰り出してくる。

私は「イグアナが、イグアナが・・・」と、うなされるように、さっき好きになったばかりのイグアナの魅力を語ったが、彼からは「寝ました」と返事が来て、もう取り合ってもらえなかった。

 

そうか、やはりだめか、と思う。まあ、大切な恋人に嫌な思いをさせてまで、私は「イグアナを飼いたい」という強い意志があるわけではない。そもそも、雷に打たれたような一目惚れの気持ちがどこまで続くのか、自分でも確証がない。しかし翌日、思いがけず、彼から歩み寄りのメッセージが送られてくるのである。

                        イグアナに一目惚れ②につづく